私は10年ほど前から海外に住んでいるので、
おばあちゃんとはかなり離れた場所に住んでいることになるのですが、
1年に1度は必ずおばあちゃんちに行くようにしています。
私も弟も社会人になり、両親も仕事があるので、
なかなかみんなそろっておばあちゃんちに行くということはできないので、
だいたいは私が1人で出張の合間に2、3日滞在するという具合です。
おばあちゃんは足が悪く、背も低いので、お風呂の高い場所の掃除や
押入れの上の整理整頓は1年に1回のわたしの仕事になっています。
これ見よがしにと多種多様なお願いをされます。
お駄賃は、幼い頃から通う近くのお好み焼きやさんのシーフードミックスお好み焼きです。
そんなおばあちゃん孝行ですが、今年は、実家に帰ると母親が断捨離にはまっており、
わたしも自室のものを相当捨ててすっきりしたので、おばあちゃんちに行っても断捨離をしようと試みました。
一人暮らしなのに、3LDKがもので溢れているほどで、断捨離し放題だと思いました。
「これ捨てていいよね?」聞くたびに「それは、ちょっと置いといて。」という返事が返ってきます。
やれやれ、これは長い戦いになるなぁ。
そう思っていると、「この机組み立てて。」と新しい家具の組み立てをお願いされました。
組み立てた後は、その机を置きたい場所に元々置いてあったタンスを捨てて良いから
外に出しといてと言われました。
空き箱は捨てたらだめなのに、タンスは簡単に捨てるんだね、と思いながら言われたとおりにしました。
タンスを移動させるとものすごい量のほこりがでてきました。
80歳のおばあちゃんがひとりで住んでいるんだもん、仕方ないかと思いながら掃除機をかけました。
タンスの中身とタンスの上に置いてあったプラスチックケースの中身の断捨離を二人で始めました。
プラスチックケースからは、母が10歳の時の写真が出てきました。
実家での断捨離で出てきた写真の中の20歳の母はとても細くてかわいい女性でしたが、
10歳の母はとてもぽっちゃりしていて、今の母と同じような体型でした。
すかさずLINEの家族チャットに送りました。
父も弟も大爆笑で、「若い頃の体型に戻った、若返ってよかったね。」と口々に言います。
母も怒りながら笑っていました。
そんな息抜きをしながらも、おばあちゃんとの断捨離は続きます。なかなか捨ててくれません。
白い恋人の箱、ピーナツ最中の箱、オーストラリアの国旗、メープルクッキーの箱。
「おばあちゃん、こんなの全部捨てていいじゃん。なんで捨てないの?」
そう聞くわたしにおばあちゃんはこたえました。
「だって、全部あんたが買ってきてくれたお土産やから。」
あぁ、そうか、そんな理由があったのか。わたしは少しうるっとしました。
断捨離は楽しいしすっきりするけど、人それぞれ大切なものは違うから、
そういうのを思い出すことも含めて”断捨離”なんだなと思いました。