モンゴル人は、奇跡的なほど物欲が少ないと言われています。
実際、モンゴルの田舎では、移動式住居に住んで、
いつもこざっぱりとした室内を保ち、
余計な物は持たない生活をしています。
ある調査によると、住民一人当たりの所有物の数の平均は、
モンゴルでは300個であるのに対し、
日本では6000個だったそうです。
このモンゴルの暮らしそのものが、断捨離思考の元なのです。
モンゴルの住まいは、世界でもっともシンプルで合理的な家だとも言えます。
採光、空気の流れなどを自在に考慮でき、
余計な物を一切持たないことで、移動も簡単にします。
例えば、鍋ひとつとっても、基本的に大きな鍋が一つあれば十分です。
これでお茶も作りますし、炒め物、揚げ物もできます。
一つの物で、たくさんの用事が済ませられるなら、
そもそも物はそれほどたくさんいらないのではないでしょうか。
年に数回も引越しを繰り返す人々にとって、物は少なければ少ないほど良いでしょう。
物については、収入云々よりも、常に、持てる用量を考えておくことで、
結果として、本当に大切なもの以外は持たない、という結論に至ります。
これが繰り返されることにより、
モンゴル人は物欲がそぎ落とされていったと言われています。
その反面、物欲が消えていったモンゴル人の関心は、家族、自然、家畜などに向き、
モノではなく、心を満たすことが幸せになることだと知ったのです。
遊牧民は、見知らぬ人が突然尋ねてきても歓迎し、
食事を振る舞い、寝場所を提供してくれます。
お互いに盗み合うものがないので安全なのです。
今の物に囲まれた日本で、モンゴルの暮らしを完全に真似することは難しいですが、
物を断捨離することで、心の豊かさが大きくなる可能性は十分にあります。